残額5741億円全額の早期返済完了を金子国土交通大臣に直接要望 「自賠制度を考える会」
金子国土交通大臣に要望書を手渡す
「自賠制度を考える会」(福田弥夫座長<八戸学院地域連携センター教授>)が、高市内閣で10月28日に新しく就任した金子恭之・ 第28代国土交通大臣と11月19日に直接面会。
「自動車安全特別会計からの一般会計繰入金に係る要望書」を手渡し、令和8年度予算における残額5741億円全額について、可能な限り早期に返済完了するよう、毎年最大限の増額繰戻しを行うこと。残額繰戻し時期を明確にし、その道筋(ロードマップ)を提示することを。以上2点を強く要望した。
出席者は、福田弥夫・八戸学院地域連携センター教授、桑山雄次・全国遷延性意識障害者・家族の会代表、坂口正芳・日本自動車連盟(JAF)会長、金子晃浩・全日本自動車産業労働組合総連合会会長、加藤賢治・日本自動車会議所保険特別委員長、島﨑豊・日本自動車会議所専務理事。
今年、国土交通大臣が公明党から自民党へ変わった影響については「全額返済についてご理解いただけた。金子新大臣は2008年から副大臣を務めており、国土交通行政にも明るい」と福田弥夫座長は述べた。
共助の考え方から自賠責保険料として自動車ユーザーが支払った保険料の運用益を原資とし、その時々に必要とされる交通事故被害者の救済や事故防止対策に用いられていた自賠責保険積立金。平成6年度および7年度に、財政事情の悪化を理由に自賠責保険料の積立金2兆円のうち1兆1200億円が自動車安全特別会計から一般会計に繰り入れられ、その後、繰戻されない状況が続いていたことに、この問題は端を発する。
「自賠制度を考える会」は2010年に設立。交通事故被害者救済の重要性から繰り戻しを実施するよう一貫して強く訴えてきた。
その後、平成29年12月18日付けで、麻生太郎財務大臣と石井啓一国交省大臣の間で「平成30年度において、23億2030万円を自動車安全特別会計自動車事故対策勘定に繰り戻すこととする」という覚書が交わされた。
それ以降、毎年度の繰戻が8年連続で実施。
令和3年12月に財務大臣と国土交通大臣との間で交わされた合意文書においては、単年度予算編成が基本となる中、実質的には令和4年度の繰戻し額である54億円を最低ラインとしつつ、合意期間である令和9年度まで、継続的に繰戻しを実施する旨などが確認された。
その結果、令和5年度は当初予算60億円に補正予算を併せて73 億円、令和6年度は現時点で65億円、令和7年度は65億円が一般会計から繰戻され、額も年々増加傾向にある。
現状、一般会計に繰り入れた1兆1200億円のうち、5741億円が繰り戻されていない。このままのペースでは、返済には70年から80年もの時間がかかってしまうという状況だ。
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