全世界で135万人の交通事故死者数を減らすには? パネラーが各国の現状を踏まえて意見交換
NCAPパネルディスカッション
「第6回・2019 NCAP & Car Safety Forum in Tokyo 2019」にて、7月29日、世界のNCAP事情をテーマに意見交換する「Advanced Car Technology and NCAP in the World」と題したパネルディスカッションが行われた。
パネリストは、アレハンドロ・フラス(Global NCAP事務局長)、クラウス・パストル(BASt)、カイリル・アンワル(ASEAN NCAP)、アンドレ・ジーク(Euro NCAP)、グオ・ミャオ(China-NCAP)、森内孝信(NASVA)。モデレータは、杉本富史の各氏。
NPAP、自動運転を語るうえで、交通事故死者数への対応は避けて通れない課題といえる。世界保健機関(WHO)は、全世界で年間135万人が交通事故で命を落としているという最新報告書を発表。国際社会に行動を起こすよう呼び掛けた。この数字は、24秒に1人が交通事故死している計算だ。各国、地域の現状はどうか。
森内「予防安全性能に関してはヨーロッパのほうが先行している。日本では高齢化が急速に進んでおり、高齢者のペダルの踏み間違いによる大きな事故が何件か発生している」
カイリル「ASEANは7割方がオートバイの死傷者。4輪車メーカーの助けを借りて新しいテクノロジー、ツールを開発。5年10年後、オートバイの死傷者が減ることを期待したい」
グオ「中国がヨーロッパ、アメリカの衝突安全の水準まで短期間でキャッチアップするのは難しい。新しいテクノロジーはマーケットへ出てきているが、テストが追い付いていない。消費者へ充分な情報を提供できていないのが、ジレンマ」
クラウス「ヨーロッパは乗用車の死亡事故は80%減った。今後は交通弱者の高齢者、歩行者、自転車をいかに守るかが課題。ドイツでは若い男性の事故に関して、教育やキャンペーンによって改善に向かっている」
アレハンドロ「インドは今年10月から全面衝突、オートバイのABSが装着され、歩行者保護に役立つと期待されています。アフリカでは交通弱者の歩行者をどう保護していくかが課題。ラテンアメリカは2030年までにすべてのクルマにAEBを標準装備するロードマップを作成したが、市場が予測しにくい」
アンドレ「ロードセーフティには、インフラと人の行動の2つの分野がある。ヨーロッパの死亡者数が減っているのは、妥当なインフラができており、教育もできているからです。いっぽう、グローバルの死者数は逆に増えている。クルマが買えるようになった新興国では、親からローセーフティを教えてもらっていない世代がクルマを持つようになったからです。ロードセーフティには、ハーモナリゼーション(調和)が一番大切。競争ではなく、お互いから学ぶ。学んだことを自分の国に適応していくことが重要」。
2020年レベル3レベルの自動運転車導入へ急速な動き
自動運転パネルディスカッション
7月30日には「Automated Technology and Human Life in the Future」と題したパネルディスカッションが開催された。
パネリストは、アレハンドロ・フラス(Global NCAP事務局長)、クラウス・パストル(BASt)、フランソワーズ・ギシャール(BASt)、アンドレ・ジーク(Euro NCAP)、グオ・ミャオ(China-NCAP)、カイリル・アンワル(ASEAN NCAP)。モデレータは、斧田孝夫(VMAD議長)の各氏。
日本では今年「道路運送車両法」が改正。政府レベルで2020年にレベル3の自動運転車を導入する方針が掲げられ、急速な動きを見せている。
フランソワーズ「短期的には、日本ではレベル3レベルのクルマがオリンピックまでに出てくることを期待」
グオ「中国政府は輸送の効率を上げたい。ただし、価格が重要。いくらで導入されるかです」
カイエル「マレーシア政府では、新しい次世代のクルマのテストには予算が出てくる。特にタクシーやバスの商用を考えている」
アンドレ「レベル5はものすごい先の話。伝統的自動車メーカーが関与して、コネクテッドされたクルマが出てくる。型式認定は中期的カスタム。シナリオデータベースは何10年もかかる。事故データ収集は長いプロセスで終わらない」
クラウス「それぞれのコネクテッドされたクルマとの関係は、矛盾がいろいろ起こる」
アレハンドロ「渋滞時間の最適化で、車両は都市郊外で活用して最適化を図る。専用レーンを使って公共移動はあまり例がない。しっかり安全な専用レーンを作って導入するのが良い」。
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