「ガバナンス改善特別委員会」が日産取締役会へ38項目の提言を含む報告書を提出
1999年3月27日、日産とルノーがアライアンスを発表。それから20年目を迎える節目の日、日産自動車が「ゴーン・ショック」から新たな経営体制確立に向けて一歩を歩みだした。
昨年12月17日の取締役会で決議した7名の委員から構成される「ガバナンス改善特別委員会」が、3月27日に日産取締役会へ38項目の提言を含む報告書を提出。取締役会からは「誠実に対応する」との言質を得たという。
弁護士の西岡清一郎共同代表は「本委員会は、ゴーン氏やケリー氏、日産現取締役陣といったいかなる個人または法人の犯罪事実または法的責任の有無を追求するものではない」と述べた。
さらに「2月1日現在の調査報告書の内容を精査した結果、調査報告書の内容が不合理ではないと判断した」と話した。
カルロス・ゴーン前会長が、有価証券報告書に報酬を過少に記載した金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕された重大な不正行為の根本原因として、5項目を指摘した。①一人の取締役に権限が集中したこと(特に、人事、報酬)②一部の管理部署がブラックボックス化したこと ③取締役会の監督機能が一部有効に機能しなかったこと ④他の会社機関の監視・監査機能が一部有効に機能しなかったこと ⑤社内各部署のけん制機能が一部有効に機能しなかったこと
この根本原因を解消し、再発を防止ため、38項目の提言が提出された。
このうち注目されるのが、<1>ガバナンスの基本的枠組みとして、2019年6月末をもって、指名委員会等設置会社に移行する。
<15>日産における会長職は廃止する。
昨年12月17日の会見で、西川廣人社長は「会長人事に関しては、『ガバナンス改善特別委員会』の提言も取り入れ、いつまでにという期限を切る考えはない」と述べていた。
<19>日産の代表執行役は、ルノーその他の主要株主または三菱自動車工業の取締役。執行役その他の役職員を兼任してはならない。
西岡共同代表は「目的はガバナンスの改善のための提言」
東レ元社長の榊原定征共同代表は「業務執行機関と監督の分離を盛り込んだ。取締役会で考えてもらい、ぜひ再生を果たしてほしい」とそれぞれ説明した。
報告書では、日産がこの内容を真摯に受け止め、迅速かつ誠実に検討し、強固で透明性の高い、最善のガバナンス体制を構築したうえで、上述の「ゴーン経営の負の側面」を払しょくして日産のめざすべき姿を示す新たな経営体制を確立することを期待すると結んだ。
なお、会見場には定例の日産本社ではなく、同じ横浜市内のヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテルを使用。案内表示も「ガバナンス改善特別委員会会見会場」(=写真)と日産の名前を外すことで、ガバナンス委員会の独立性を重視する姿勢を示した。
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