トラック輸送運賃の上昇が深刻化 「普通トラック」「小型・軽トラック」に関する市場動向等調査 自工会
自工会が(豊田章男会長)「2022年度小型・軽トラック市場動向調査」を発表した。両報告書は一般向けに配布するとともに、自工会ホームページにも掲載された。
「2022年度小型・軽トラック市場動向調査」は、物流を取巻く市場環境の変化を時系列的に捉え、隔年でアンケートを実施している。
調査結果の主な特徴は以下の通り。
経営状況 自家用ではコロナ禍からの回復の兆しがみえる一方、運輸業の半数では、売上・業務量ともに新型コロナ前より減少し、厳しい状況が続く。エネルギー価格高騰も経営に大きく影響。
需要動向 国内全体の輸送総量は、新型コロナの影響により20年に大きく減少したが、運輸業の大規模事業所、経営が好調な事業所でのトラック購入意向は高い。
ドライバー不足に関する意識・意向 2023年・2024年問題の取り組みが進みつつも、高速活用増、運賃・給与引き上げといった眼前の課題対応が中心。
荷主側の回答では、2023年・2024年問題の影響として「トラック輸送運賃の上昇」が6割で最も高かった。
安全に対する意識 運輸業では対面点呼・酒気帯び確認等、健康管理を中心とした対策で、IT関連機器の導入検討も。自家用では乗務前の酒気帯び確認実施率が大幅に増加。
環境意識と次世代環境車 エコドライブ、低燃費車両はユーザー・荷主ともにニーズあり。カーボンニュートラル対応となるハイブリッド車導入意向は、運輸業で中型の2割強にとどまる。
先進技術への期待と不安 DX対応については、車載機器が中心。また、エコドライブは施策実施率4割に対して、システム導入率2割強にとどまる。荷主では『先進的な安全対策』より、『運賃コスト』優先が上回り、得意先・消費者への価格転嫁が難しい状況。
社会情勢の影響 エネルギー価格、原材料価格の高騰は、トラックユーザーや荷主にも大きく影響。
トラック保有台数増見通しの運輸事業所が増加
小型・軽トラックユーザーの保有・購入・使用実態の変化を時系列的に把握し、今後の市場動向を探っていくことを目的とした2022年度「小型・軽トラック市場動向調査」の結果も併せて発表した。
今回は、カーボンニュートラルに向けた社会の流れを受けた次世代環境車や電気自動車に対するユーザー意識の変化、燃料価格高騰やドライバー不足が及ぼす輸送への影響と対応策等、小型・軽トラック市場を取り巻く社会的な環境変化の影響、及び、小型・軽トラックに対する新しいニーズを把握すべく、以下6項目をトピックとして取り上げ、分析を行った。
調査結果の主な特徴は以下の通り。
保有状況と変化の背景 保有台数全体は1207万台に増加。小型トラック・軽ボンバンは減少傾向が継続。直近2年間のトラック・バン保有台数は、運輸業以外、運輸業ともに「保有減」事業所が「保有増」事業所を上回るも大半は変化なし。
需要構造の実態 小型・軽トラック・バン全体の販売台数は2020年(新型コロナウィルス感染拡大)以降大きく減少。
使用実態 使用パターンでは「仕事・私用兼用」比率が上昇。仕事利用では、軽トラック以外で「作業場・仕事場・現場への往復」が最も高く、軽トラックでは「一般家庭など最終消費者への配達・集荷」が18年度から上昇。
仕事利用の行動半径は、いずれの車種も「〜10km」が18年度から増加。
仕事利用の平均月間走行距離は、18年度に比べ短距離化。
仕事利用の運行形態は、いずれの車種も「往復型」が最多。小型トラックの運輸業では「巡回型」が上昇。
私用利用では、小型・軽トラックは「園芸・農作業」が、小型バンは「通勤・通学」が、軽キャブバン・ボンネットバンは「日用品の買物」が高い。
私用利用の平均月間走行距離は、仕事利用に比べ短い。
私用利用では、小型トラックが重量・スペース積載率ともに最も高い。
今後の購入・保有意向 次期買い替え意向車は、小型は同タイプ・同クラス歩留まり意向が継続。軽キャブバン・ボンバンは他タイプ移行が増加。特に軽キャブバンでの軽乗用車意向比率が上昇。
今後1〜2年間の保有増減の見通しをみると、運輸業では保有増の見通しをしている事業所が増加、運輸業以外ではほとんどの事業所で変わらない見通し。
環境問題・次世代環境車・電気自動車に対する意識 環境意識の醸成と燃料価格高騰の背景から、小型・軽トラックで次世代環境車の導入意向が増加。「電気自動車」は事業所調査では軽トラックで、ユーザー調査では軽バンでの意向が最も高い。「車両価格」 「充電設備」「バッテリー」「航続距離」の懸念は残るも、事業所調査では「航続距離」の懸念は減少。
輸送状況の変化とサービスへの期待 輸送業務では少量・軽量・近距離が直近2年で増加。運輸業以外では宅配便等の外注を約7割が現在利用。宅配便を中心とした各配達サービスの利用意向が増加。運輸業におけるカーシェアリングの現利用・利用意向は運輸業以外に比べ低く、希望の車両を利用できる確実性がないことがネック。
安全意識と先進安全技術 自動車の安全性に約8割の事業所が関心あり。運輸業では購入時重視が約8割と18年度調査から増加。有償装着意向は「衝突被害軽減ブレーキ」「歩行者の検知・保護支援システム」「誤発進防止システム」が高い。事業所調査において、自動運転技術への期待度・導入意向ともに18年度より増加。
運転手不足の現状と課題 運輸業では運転手不足困窮度が減少するも約半数は未だ困窮。60代以上男性運転手の採用率が最も高く「運転操作等で問題」「荷役作業が困難」等が障害点としてあがる。現在、今後ともに30〜50代男性運転手の採用意向が高く、今後の運転手採用に有効な対策として「給与水準の引き上げ」「未経験者を育成する為の教育の充実」を検討。
農家におけるトラック・バン 農家の4割弱が規模縮小・廃業予定。うち3割弱が保有減もしくは保有中止。一方で、主運転者50代以下では今後について規模拡大・会社運営の意向がみられる。
0コメント