【試乗記】SUVと乗用車の「いいところ取り」 クロスオーバーSUV MAZDA CX-30
MAZDA CX-30
9月20日発表、10月24日発売開始されたマツダの新世代商品の第2弾、クロスオーバーSUV MAZDA CX-30(エムエックス サーティー)に試乗した。
キーワードは「明日を彩るパートナー」。「人生の幅や世界観を広げるクロスオーバー」をコンセプトに開発された。
ボディサイズは全長4395㎜で、CX-3とCX-5との中間に位置する。SUVにしては全高1540㎜と背が低く、ややずんぐりむっくりしたプロポーション。それをカバーするように、「クラッデング」と呼ばれる黒い樹脂でボディの下半分を隠すことで、スリムに見せている。ホイールアーチのモールがSUVらしさをアピールしており、デザイン上のアイコンとなっている。
全高を低く抑えたのは、立体駐車場への対応を考えたからだという。小回りの利くコンパクトなボディサイズと取り回しの良さは、日本の道路事情に即した一台といえる。
乗降性のスムースさは、乗用車と変わりない。街乗りユースには十分対応できる。コンパクトサイズのSUVながら、大人4人がゆとりをもって乗車できるだけの後席の頭上高、足元スペースを確保している。パーソナルユースに振ったCX-3との住み分けになる部分だろう。
コックピットは「人馬一体」の思想のもと、計器類がドライバーを包み込むように配置されており、乗用車的なレイアウト。操作性も問題なく、乗用車からの乗り換えにも何ら違和感を覚えないだろう。
クロスオーバーSUVらしく車高が乗用車より高い分、視界が良い。着座面の高さに加えて、ヘッドアップディスプレイが大変見やすく、視線移動が最小限に抑えられ、運転に集中できるのも好印象。後部の視認性もよく、車両感覚がつかみやすい。SUVと乗用車の「いいところ取り」といえる。
残念なのは、ナビゲーション。17インチのテスラSほどではないが、昨今肥大化が進むカーナビ画面のトレンドのなか、横長ワイドの8.8インチサイズを装着。見た目のデザイン的には収まりが良いのだが、第一印象ではやや小さいと感じた。今年9月から導入された「マツダコネクテッドサービス」により、インターネット経由で地図情報などは毎月更新されており、慣れれば機能的には問題ないだろう。
今回試乗したのは、2Lガソリンエンジン搭載車のSKYACTIV-G 2.0 および1.8Lディーゼルエンジンを搭載した SKYACTIV-D 1.8 。
「第46回・東京モーターショー」において、マツダが初の量産EV車「MAZDA MX-30(エムエックス サーティー)」をWPするなど、次世代エンジンが脚光を浴びるなか取り残された感のあるクリーンディーゼルエンジンだが、成熟の域に達したといえる。室内の静粛性や振動に関して、ガソリンエンジンに対するハンデはほとんど感じられない。高速道路への進入時のディーゼル特有の力強い加速感は健在である。
クリーンディーゼルの実力は認めたうえで、街乗りを前程にしたCX-30のキャラクターなら、2Lガソリンエンジンのほうがマッチしていると思う。現状の販売比率は、ガソリン車とディーゼル車の比率はほぼ半々という。もちろん、本命は来年発売予定のSKYACTIV-X2.0搭載車だが。
クロスオーバーSUVのCX-30はSUVと乗用車の「いいところ取り」と見るか「中途半端」と見るかによって、評価が割れる一台。SUVらしさにこだわる評論家はイマイチと採点するかもしれないが、CX-30のような「いいところ取り」の中間カテゴリーのクルマは日本の販売現場では売れるクルマである。
「人馬一体」のコックピット
クリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D1.8」
キャビンから張り出すリアフェンダー
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