ボッシュが提案する新ビジネスモデル「デジタル エコシステム」
ボッシュが、5月16日から18日に開催された日本最大の自動車機械工具実演展示会「第36回オートサービスショー2019」(主催・一般社団法人日本自動車機械工具協会)にて、「CDR/EDR、ADASを含む整備業界の新しいビジネスモデル『デジタル エコシステム』」を発表した。
現在、損害保険業界の市場規模は8兆4000億円。そのうち自動車事故が5兆400億円。クルマの修理市場は1兆200億円で、これを全国1万6000店舗のディーラーと7万6000拠点の整備工場、鈑金工場がほぼ半額づつ分け合っている。
オートモーティブアフターマーケット事業部 テクニカルサービス&サポート部・里廉太郎ゼネラル・マネージャーは「2019年の新車販売における約90%以上の新車に先進運転支援システム(ADAS)が搭載されています。2020年には政府の掲げるレベル3以上の自動運転車が公道を走り始めると予想されます。また、2021年10月以降に発売される新型モデル車両に対し2024年10月より新車検制度が開始されます。そのため、独立整備事業者はビジネスを継続するためにそれらの先進車両を正確に整備することが求められます。
自動運転化により、整備はより複雑化し、最新車両に対応できなければ整備もできなくなるとともに、その責任範囲も拡大すると見られています。これからはEDR(イベントデータレコーダー)データを用いた事故調査、エーミング作業による事故修理が必須になります」と述べた。
ADASが増え続けるクルマ社会では100%ドライバーが運転する車両と、自動運転システム(および運転支援機能)によって走行する車両が混在することになり「事故の際の法的な責任」の明確化が困難になる。ボッシュのCDR(クラッシュデータリトリバー)は、フライトレコーダーに例えられる車載のEDRのデータを読み出し、事故の際の速度、ブレーキ操作、ステアリング操舵角、など最大60種の情報を短時間でレポート化。既存の事故調査方法に加え、CDRでのデータ解析により、さらに透明性を持った事故原因の考察を行うことができる。
2017年10月からボッシュのCDRを導入したあいおいニッセイ同和損保では、CDRデータを解析する20名のCDRアナリストにより、2018年9月末までに194件のEDRデータが収集され、調査時間の短縮、調査の精度の向上に役立てられている。ボッシュは今後、整備工場でこのCDRを使って車両の事故記録を確認し、保険会社と連携することでドライバーへの正確で効率的な事故解決に貢献し、整備工場においては新しいビジネスモデルとなると提唱している。
事故車両の修理には、ADASのエーミング(補正)作業も欠くことができない。
ADASを搭載したクルマには多くのカメラやセンサー、レーダーが搭載されており、人物、障害物、距離などを緻密かつ正確に検知することでクルマの安全な走行をサポートしている。しかし、車両整備の際、これらのセンサーのエーミングが正しく行われていなかった場合、システムの「パフォーマンスの低下」や「制御の停止」といった問題につながる可能性がある。最悪、これらの車両整備が正確に行われなかった場合は交通事故につながり、事故責任の問題まで発展する可能性がある。
ADASにも、エキスパートが求められる。
ボッシュはこれらCDR+ADASを活用した整備工場と保険会社との新しいビジネスモデル「デジタル エコシステム」を提案しており、国内190店舗のボッシュ カーサービス店舗で、すでに導入が始まっているという。
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