取締役研修のさらなる活性化と拡大はじめ3つの重点テーマ 日本取締役協会
上場企業、大企業の会長、社長、取締役、執行役、管理職を対象に、今後必須とされるコーポレートガバナンスの情報、知識を提供する日本取締役協会(冨山和彦会長<経営共創基盤IGPIグループ会長、日本共創プラットフォーム代表取締役社長>JACD)が、5月15日に帝国ホテル東京で第23回定時会員総会および会長定例記者会見を開催。
2025年度の協会活動について、以下の3つのテーマを重点強化に掲げた。
第一に、各種取締役研修のさらなる活性化と拡大を図る。
JACD ではコーポレートガバナンス実質化の鍵は何より「担い手」にあると認識している。取締役会の実効性向上には、企業価値を創造できる強い“執行”と、価値を棄損しないよう監視する“監督”との両輪の整備が必要不可欠だと考える。
近い将来には、独立社外取締役が取締役会の過半を占め、少数株主を含むすべてのシェアホルダーの意見を代表しながら、必要時には果断に CEO の選解任を行うような企業が、我が国で太宗を占めるとJACDは予測する。そのためにも独立社外取締役が果たすべき役割を常に明確化して、取締役研修を通じて、全取締役の実力のさらなる底上げ、つまりは良質なガバナンスの基盤作りを支援していく。
第二に、株式会社の機関設計については、監督と執行が分離されたモニタリング型の取締役会を目指していく。
我が国会社法で認められた3種類の機関設計のうち、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社が、モニタリング型であるとJACD は認識する。とりわけ3委員会が法定必置であり、人事権を梃子にした経営に対する牽制が最も効き、海外機関投資家からも一番理解を得やすい指名委員会等
設置会社を、将来に向けて推奨していく。法制審議会の機関設計議論を注視しながら、関係省庁・東証とも連携して、CGコードなどのソフトローの整備を働きかけていく。
独立社外取締役候補の人材マーケットの整備や稼ぐ力を強化するガバナンスニーズの高まりの現状を鑑みるに、“プライム市場上場企業は指名委員会等設置会社であることをその要件とする”ことも、もはや現実的な段階にまで、我が国企業のガバナンスは向上しつつあると認識している。
最後に、より強いムーブメントを世の中に巻き起こしていくためにも、同じ志を持つ、良質かつ影響力の強い企業が当協会へ加盟することを促進していく。2024年度期中には会員数は総計500名に到達した。次なる目標として1000名の会員数を目指す。
そのためにも、従来の人的ネットワークからの企業紹介に加えて、当協会の案内資材を整備し、ガバナンスへの関心が高い企業群へ直接的な紹介活動を開始する。またエンゲージメントの担い手である機関投資家の JACD 加盟も勧奨し、一緒になって望ましい今後のガバナンスの在り方を多面的に検討していきたい。
協会活動のトライアル体験のためにオープンセミナーは年間3回開催する。新たに、当協会への認知度・理解度に関するオンライン定点調査を、毎年実施していく。
富山和彦JACD会長は「今年は資本民主主義元年の年になるだろう」と述べた。
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