【試乗記】スズキ アルト 軽セダンの「完熟型」

丸みを帯びたエクステリア

 9代目「スズキ アルト HYBRID X」に試乗した。

 アルトは1979年5月に47万円という低価格の軽ボンネットバンとして発売され、大ヒットを記録。以降42年間で国内累計販売台数526万台を売り上げた軽自動車を代表する車種として、ブランドが確立している。

 9代目アルトの商品コンセプトは「気軽に乗れる、すごく使える、安心・安全な軽セダン」。そんな「下駄」代わりの一台をめざした。

 商品特徴は、以下の6点。

 ①丸みを帯びた愛着のわくエクステリアデザイン

 ②アルト初のマイルドハイブリッド搭載で軽自動車トップのWLTC燃費モード27.7㎞/Lを達成

 ③6つのSRSエアバック、デュアルカメラブレーキサポートなどスズキの予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」を全車標準装備

 ④全高50㎜、室内高45㎜拡大し、広い室内空間を実現

 ⑤ドライバーから手の届く位置に収納スペースを豊富に設置

 ⑥軽量・高剛性プラットフォーム「HEARTECT」、環状骨格構造を採用して走行性能を向上

 アルトが売れた理由のひとつが価格。

 初代モデルの47万円と比べて、新型はアルトA85万8000円は、数字上の単純比較では2倍近くになった。

 高価な「下駄」になったのでは?との指摘については、42年間の物価高騰分約22万円プラスエアコンはじめ快適(というより必需)品や安全装置、環境装備の価格を加えると、初代モデルに相当する低価格を維持していると言う。

 スズキ車に試乗していつも感心するのは、普段乗っているミニバンやスポーツカー、輸入車からパッと乗り換えても、車両感覚が掴みやすく違和感を感じないで運転できること。誰もが気軽に乗れる一台というコンセプトには、それだけで合格点がつく。

 今回試乗時は小雨模様で、日中でもライトオンしたくなるようなあいにくの天候。こういう時には、取り回しがしやすい小さなボディで前後左右の車両間感が掴みやすいことは、安心できる。

 新型モデルは、フロントドア開口高を20㎜拡大したので、乗り降りはしやすくなった。

 限られた軽規格の中で、できうる限り広い室内空間というのは、アルトのウリのひとつだが、新型は全高を50㎜、室内高を45㎜それぞれ拡大したことで、シートをアップライトに座る記者でも、ヘッドスペースには余裕があった。室内幅も25㎜拡大された。

 使いやすさという点では、ドライバーの手の届く範囲に容量や幅、深さ、形状が異なる物入れを多数用意。アルトユーザーからの声を反映したものと思われる。

 走り出してみる。

 運転席前方のダッシュボード上のアクリル板、ヘッドアップディスプレイに、車速やタコメーター、燃費、警告灯などがフルカラーで表示される。他メーカーにはフロントガラスへ投射するモデルも出ているが、日射の関係で見えくくなる時間帯もある。短時間の試乗では判断できないが、新型アルトではその影響は少ないのではないだろうか。

 低燃費と軽的な走りの両立を狙ったマイルドハイブリッドR06D型エンジンはCVTとのマッチングも良く、完成域に達した印象を受けた。

 室内騒音に関して意識して作りこみを行ったとの説明通り、雨音や風切り音が気になることはなかった。

 その点でも、9代目アルトは、軽セダンとしては完熟の域に達した一台と言える。

 現在軽自動車のトレンドは、セダンからワゴンRスマイルのようなスライドドア搭載のスーパーハイトへ移っている。エンジンもガソリンからEVへシフトする流れは必須といえる。

 軽セダンとして完熟した「下駄」がどう生まれ変わるか。10代目アルトに期待したい。

      マイルドハイブリッドR06D型エンジン

     運転席の手の届く範囲に多数の物入れ

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