ホンダ新社長に三部専務が昇格 「将来の成長に向けた仕込み」をさらに加速、実行に
三部専務と八郷社長
ホンダ(八郷隆弘社長)の社長が6年ぶりに交代する。三部敏宏(みべ としひろ)専務(59歳)が新しい社長に昇格。八郷隆弘社長(61歳)は取締役に就任する。
2月19日開催の取締役会において、4月1日付の取締役および執行役員人事を内定するとともに、ガバナンス体制強化し「監査等委員会設置会社」から「指名委員会等設置会社」へ移行する方針を決議した。
ホンダは今回の社長交代の理由について「将来に向けての基盤づくりの目途がつき、今後は新たな経営体制のもと、新価値創造に向けて進化を図るため」と説明する。
新たに社長に就任予定の三部専務は、1987年広島大院修了後、ホンダに入社。その後、エンジン開発を中心に四輪車の研究・開発に従事するなど技術畑を歩み、2019年には本田技術研究所代表取締役社長に就任。2020年には本田技研工業の専務取締役に就任した。
ホンダの社長コースとされる本田技術研究所代表取締役社長を務めていることから、次期社長の有力候補と目されてきた。
三部専務は「重責を感じますが、自分の持ち味を最大限に発揮し、新しいホンダをリードしていきたいと思っています。特に『将来の成長に向けた仕込み』をさらに加速させ、実行に移していくこと、言い換えると、八郷が固めた既存事業の地盤のうえに、ホンダの将来、未来という建物を建てることであり、100年に一度の変革期にも耐えられるレジリエンスを持ったものにしなければならないと思っています。
そのために、『2050年カーボンニュートラル』と『2050年交通事故死者ゼロ』に向けた取り組みを具現化し加速させること、そして、お客様の暮らしを豊かにする、生活の可能性を拡げる新しい価値を提供することで、お客さまや社会から存在を期待される企業であり続けることをめざしていきます。
これまでは研究所の社長として、2030年以降のホンダを創っていく新たな技術、価値創造の研究開発を進めてきました。今度はホンダの社長として、これまで仕込んできたものをお客さまにとって魅力ある”もの”や”こと”として形にしていきます。それが即ち、ホンダが存在を期待されるということ。その実現のため、お客さまからワクワクしていただける、喜ばれる商品・サービスの提供に向けチャレンジしていきます。
激動の時代に、ホンダがこれからも『存在を期待される企業』としてあり続けるには、ホンダ全体で大きな転換・スピードが求められます。ホンダが描く新しい価値を早期に実現するために、必要であれば、外部の知見の活用やアライアンスの検討なども含めて、躊躇なく決断、実行し、自らをチャレンジャーとして職務に臨んでいきます」と抱負を述べた。
また、電動化に関しては「EVという商品を作れば良いという単純なものではなくて、調達戦略、生産戦略、売り方を同時に進めることで、事業性が成り立つと考えています」と語った。
2015年から約6年間社長を務めた八郷社長は、在任中、事業環境の大転換期にあたり、ホンダが将来に渡り存在を期待される企業であり続けるために、「2030年ビジョン」を策定。「すべての人に『生活の可能性が拡がる喜び』を提供する」というステートメントの実現に向け、「既存事業の盤石化」と「将来の成長に向けた仕込み」に取り組み、チーム・ホンダをリードした。
生産領域や開発領域の効率化や体質強化をはじめ、グローバルでの選択と集中を行うことで、将来への土台づくりを完成させ、新しい時代に向けてホンダが走り出す準備を整えた。F1からの撤退や狭山や欧州の生産拠点の閉鎖といった決断を下した。
八郷社長は「2015年6月に社長を引き継ぎ、100年に一度と言われる大転換期に突入するなか、ホンダが将来に渡り、存在を期待される企業であり続けるために、『既存事業の盤石化』と『将来の成長に向けた仕込み』を重点方針とし取り組んできました。
『既存事業の盤石化』については、四輪事業を中心に事業体質強化のために、商品開発体制や生産能力の適正化など従来のやり方に捕らわれない抜本的な改革を進めて、狭山や欧州などの工場生産終了などホンダにとって大きな決断も行いました。
一方、世界最大市場となった中国においては、5年間で倍近くまで生産能力を拡大するなど、グローバルで選択と集中を行いました。その結果、既存事業の盤石化については成果の刈り取りの段階に入っています。
また、『将来の成長に向けた仕込み』についても、ホンダの原点である『社会の役に立つ』という想いのもと、モビリティメーカーの責務として『2050年カーボンニュートラル』と『2050年交通事故死者ゼロ』の実現、そして、お客さまの夢を実現する新しい価値の提供に向け、研究所の体制も進化させました。
新しい時代に向け新しいホンダが出発していくため、このタイミングで新たなリーダーに託し、全社で新鮮な気持ちでチャレンジして欲しいと考え、三部へ社長のタスキをつなぐことにしました」と挨拶した。
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