【試乗記】日産デイズ「令和」時代の軽はもう我慢させません

 日産と三菱自動車の合弁会社NMKVの第2世代車となる軽ハイトワゴン、日産2代目デイズ。先代モデルは軽自動車カテゴリーの中でも各社がしのぎを削るハイトワゴン市場の中で、コンスタントに10%前後の安定したシェアを維持してきた。

 6年ぶりにFMCされた新型車では、マーケティングを重視。ユーザーからの改善要望点である①出足や追い越しの加速 ②荷室の大きさ、使い勝手 ③小物入れの少なさをクリアするとともに、通勤や通学に加え、レジャ―用途の長距離移動にも対応できるファーストカーとしての役割も担える一台にした。

 ① 加速に関しては、新パワートレインを搭載。新開発BR06エンジンはトルクを最大15%アップし、NA車(X)でもターボ車(Gターボ)と遜色ないだけの信号待ちや合流時の発進加速を実現した。新開発CVTによるDステップ変速により、シフトアップに伴う加速が体感できるよう設定された。もう、軽だから0発進で併走車に追いていかれる不安は感じさせません。走りに特化すると、軽のウリである燃費への影響が心配されるが、セレナに採用しているバッテリーを鉛酸電池からリチウムイオン電池に切り替えた新S-ハイブリッドシステムにしたことで、WLTCモード21.2㎞/Lを実現した。

 ② 荷室スペースの改善については、新プラットファームの採用が大きい。旧型よりホイールベースを65㎜拡張。加えて、エンジンルームを82mm前方に移動させることで、広い室内空間と荷室スパースを確保した。とりわけ後席の足元は上級セダンのフーガ並みの広さ。荷室スペースは旧型より135㎜奥行きを拡大。スライドレバーで後ろから簡単にスライドできるようにした。年間新車販売トップのN-BOXを十分に研究した成果といえよう。

 ドライビングポジションは、軽自動車のメインユーザーである女性を意識した設え。小柄で前傾ぎみに着座するパンプス履きの女性ドライバーが足全体でブレーキが踏み込める角度にブレーキペダルを設置。ペダルが小ぶりなのは、ご愛敬か。シフトレバーの位置も高くした。Aピラーのデザインも極力視覚を妨げることがないよう改良されている。

 ③ 収納スペースの充実も大きなウリ。前席周りの収納数は15を数え、競合車を凌駕するが、数以上に頻繁に使うスマホトレイやドリンクホルダーは「見せる収納」、めったに開けることがない助手席ドアに設置した車検証入れは「隠せる収納」と区別した点はポイントが高い。

 「軽だから先進装備は我慢」というのも、新型デイズには当てはまらない。

 星野朝子・日産専務が「技術の日産が、軽市場を変える自信の一台です」と胸を張るだけあって、現状の日産車のラインナップに装着される運転支援装備――軽自動車初の高速道路同一車線運転支援技術「プロパイロット」、「インテリジェントエマージェンシーブレーキ」、「踏み間違い衝突防止アシスト」、「インテリジェントアラウンドビューモニター」、「ハイビームアシスト」――を惜しげもなくすべて搭載。さらに、9インチナビ装着車には、交通事故や急病など緊急時や事故の危険があると時などに、専門のオペレーターへのデータ通信と音声通話を行うことができる「SOSコール」を、日産車で初搭載した。 

 「令和」の新時代に日産が投入した軽自動車は、もはや軽だからという我慢を感じさせないレベルに仕上がった一台といえる。

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