「最近のガバナンス改革をどう見るか」冨山和彦JACD会長がオンライン勉強会

  「コーポレートガバナンスを上手く使い、企業を成長させる」経営者、専門家、社外取締役、機関投資家など、経営に携わる人々が日本企業の成長を目的に集まる日本取締役協会(冨山和彦会長 JACD)が、コーポレートガバナンス(CG)に関する情報や解説を目的に、8月22日にメディア対象のオンライン勉強会を開催した。

 今回は、今年5月に就任した冨山和彦会長が「最近のガバナンス改革をどう見るか~協会長の立場で」をテーマに、最近のガバナンス改革(コーポレートガバナンス・コード、スチュワードシップ・コード、ガイドラインなど)をどう評価するか、今後の展望。ポストコロナ、東証市場再編後の、上場企業におけるガバナンスの重要課題は何かについてコメントした。

 最近のコーポレートガバナンス改革の課題は、以下の通り。

 ・2020 年 3 月スチュワードシップ・コード再改定、2021 年 3 月改正会社法の施行、2021 年 6 月コーポレート。ガバナンス・コード(CG コード)の再改訂などのガバナンスに関わる多くの改訂。

 ・併せて、2021年6月投資家と企業の対話のガイドライン再改定、2022年7月 CGS ガイドライン再改定なども行われた。

 ・2022 年 4 月には東京証券取引所のプライム市場が創設されました。大きなポイントはメインとなるプライム市場における独立社外取締役の増加であり、取締役会の 3 分の 1 や設置委員会の過半数に独立社外取締役を選任すると同時に、各取締役のスキルの公表なども併せて求められている。

 ・CGコードに関連する多くのコード・ガイドライン改定において、共通してフォーカスされているのは独立社外取締役です。経営の監督において期待される役割は急速に高まり、人数も増加させていくことが要請されています。但し現状は、コード記載項目の拡充に対する企業側での形式合わせにとどまっており、経営の監督との役割を実質において果たしうるか否かは、これから見定めていくべき課題です。独立社外取の担い手も供給不足であり、一方ではダイバーシティ対応のために女性を登用する企業ニーズも強く、本来求められる“質”に未だ届いていない事例も散見されるように感じる。

 ・スチュワードシップ・コードでは、機関投資家との投資先企業との建設的な対話を通じて、投資先企業の価 値向上や成長を促し、顧客や受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図ることが、機関投資家の責任であると提起されています。しかしながら昨今、投資スタイルはアクティブ投資からパッシブ投資へとその大勢がシフトしている中で、機関投資家の投資先企業に対するエンゲージメントがなかなか十分に発揮されていないとの課題があります。結果、当初の目的であるコーポレートガバナンス向上を目指した健全な圧力は働きにくくなってしまっている。

 ・世界に目を転じると、IT 技術を活用した数多くのベンチャー企業が世の中に新たなサービスを生み出しています。中国発 TikTok(企業名バイトダンス)や米国発Uber等の新興サービスは、日本でも既に皆様にもおなじみでしょう。しかし日本から世界に雄飛するユニコーン企業がなかなか生まれてこない現状を鑑みますと、日本のスタートアップ企業をとりまく様々なエコシステムには何か問題があるようにも認識される。

 ・これらの現状の課題を鑑みるに、コーポレートガバナンスの充実に取り組む当協会としては、新たな体制の下で、「独立社外取締役の質の向上」「機関投資家のエンゲージメント向上」「スタートアップを取り巻く環境の整備」を3つの大きなテーマと認識して、当該各委員会でメインテーマとして取り上げ議論していく予定です。

 ① 「独立社外取締役の質の向上」

 ・「取締役研修委員会(仮)」を新設する

 ・JACDで既に実施中の教育研修プログラムを更に質的に拡充させる。加えて新たな研修方法としてケーススタディを導入する予定。

 ・コーポレートガバナンスの肝である経営の監督や CEO 選解任に際して、大きな役割を担うのが独立社外取締役。その質の向上に、当協会は貢献してまいります。

 ② 「機関投資家のエンゲージメント向上」

 ・「企業と投資家との対話委員会」で取り扱う

 ・アクティビストを含めた様々な期間投資家からのヒアリング、企業及び投資家を交えた座談会を開催

 ・来年に予定されるスチュワードシップ・コード改訂に対して、議論を深めて協会意見を発出する

 ・スチュワードシップ・コードの目的である、機関投資家との投資先企業との建設的な対話を促進して、より高次なコーポレートガバナンスの我が国での実現を後押し

 ③ 「スタートアップを取り巻く環境の整備」

 ・既存委員会を改組して「スタートアップ 3.0 委員会」としてリニューアルスタート。

逝去された出井委員長の遺志を引き継ぎ、会長・冨山自らが委員長を務め活動していく。

 ・スタートアップを取り巻くエコシステム全体の課題を総点検し、議論を開始する。

 ・スタートアップ企業の参画を広く呼びかけ、必要な際には当局への働きかけも実施する。

 ・日本からのグローバルスタートアップ企業の出現を、後押ししていく。

 

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