(短期集中連載②)JPUCコールセンター受電 会員トラブル4ヶ月連続ゼロ更新中
一般社団法人・日本自動車購入協会(JPUC)のおもな活動のひとつが、コールセンター「車売却消費者相談室」。中古車販売店でも自社でコールセンターを設ける事業会社が増えているが、実態は外部委託しているケースが多い。JPUCではこれを内製化し、5名のベテラン相談員を配置して、消費者からの困りごと、ご意見に直接対応している。
また「幅広く消費者を保護する」という観点から、会員以外の中古車買い取り事業者が関わったトラブルにも分け隔て無く対応しているのが、他の団体とは違う特徴といえる。
今年1月から7月の受電件数は、前年の1181件から1487件(対前年比125.9%)と4年連続増加した。
増加した理由は、JPUC会員事業社が採用する標準約款(契約書)、名刺、サンキューメールなどに「車売却消費者相談室」のフリーダイヤルが太字で記載されており、これを見て電話をかけた人が増えているからだ。消費者への認知は、着実に拡がっているといえるだろう。
会員と非会員との割合を見てみると、会員事業社が関わった事案が、前年が750件(63.5%)から1012件(68.1%)に増加している。
問い合わせ内容は、キャンセルやキャンセル・ペナルティー(違約金)、減額・解約解除といった再査定などのトラブル関連の占める割合が、前年の205件(17.4%)から99件(6.7%)に減少。反対に、ご意見や問い合わせが、975件(82.6%)から1388件(93.3%)に増えた。
特筆すべき点は、会員事業社が関わったトラブルの受電件数が、4月以降4ヶ月以上もゼロを更新していることだ。
その理由は、JPUCが昨年12月から、「違反措置」と呼ばれる「ペナルティー制度」をスタートしたこと。
「違反措置」は「JPUC行動基準」に記載された事項のうち、会員の努力義務ではなく、「〇〇しなければならない」と定められている作為/不作為業務の違反時にペナルティー措置を行う。違反の回数や重さに応じて、措置内容は①口頭注意②文書注意③警告④(会員)権利停止・除名処分の4段階。
たとえば、ユーザーへの未承諾訪問、行商従業員証の不携帯といった不適切な勧誘行為の禁止(行動基準3条)違反の時は、1回目が口頭注意、2回目が文書注意、3回目が警告となり、1年以内に同様の違反行為を行った場合は累積カウントして措置判断を行う。同業者間の価格協定を実施(行動基準1条)、違法、不適切な広告表示(行動基準2条)をした際は、1度目で文書注意、2度目で警告となる。なお、古物営業法や消費者契約法、個人情報保護法などの法令遵守違反(行動基準1条)に関しては、案件ごとに判断される。
警告までは倫理審査委員会の改善指導案件となるが、さらに改善が見られない場合は、会員以外の学識経験者が組織する第三者委員会の審査対象となり、再度の改善勧告、一年間を上限とする(会員)権利停止、除名処分を理事会へ勧告といった判断を下すという厳格な内容だ。
このうち、減額交渉に関しては、今年3月まで経過措置として処分対象から外されていた。
井上貴之代表理事は「実は1月から3月まで、特定の数社が関わる減額交渉のトラブルの電話が集中して寄せられていた。そこで、事務局が当該事業会社に対して徹底した社員教育を実施した結果、4月からはトラブルがゼロになった」と業界のコンプライアンス意識が向上している背景を説明する。
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